アキレス腱炎
アキレス腱炎とは
アキレス腱炎は、下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)と踵骨を結ぶアキレス腱に炎症が生じる状態を指します。この強靭な腱は、歩行やジャンプなどの動作時に大きな負荷がかかるため、過度の使用や繰り返しのストレスにより炎症を起こしやすい部位です。特に、ランニングや跳躍を伴うスポーツ選手に多く見られますが、一般の方でも発症することがあります。
アキレス腱炎の症状
主な症状には以下のようなものがあります。
- アキレス腱部位の痛み(特に運動時や長時間の座位後の歩行開始時)
- アキレス腱周囲の腫れや熱感
- アキレス腱部位の硬さや肥厚
- つま先立ち時の痛みや困難さ
症状の程度は軽度から重度まで様々で、慢性化すると日常生活にも支障をきたす可能性があります。
アキレス腱炎の原因
主な原因として以下が挙げられます。
- 急激な運動量の増加
- 適切な休息を取らない継続的なハードトレーニング
- 偏平足など足の形状不良
- 不適切な靴の使用
アキレス腱炎の治療方法
治療アプローチは症状の程度や持続期間によって異なります。
急性期の管理
- RICE処置(Rest, Ice, Compression, Elevation)
- 過度の運動の中止
薬物療法
- 非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)の内服や外用
- 重症例では局所ステロイド注射(ただし、腱断裂のリスクがあるため慎重に使用)
物理療法
・超音波治療
運動療法
- ストレッチングエクササイズ(特に下腿三頭筋のストレッチ)
- エキセントリック運動(ヒールドロップエクササイズなど)
装具療法
- ヒールリフトの使用(アキレス腱への負担軽減)
生活指導
- 適切な靴の選択
- トレーニング方法の見直し
慢性化したアキレス腱炎や保存療法で改善が見られない場合、手術的治療が検討されることもあります。ただし、多くの場合は適切な保存療法と生活習慣の改善で症状の改善が期待できます。
早期診断と適切な治療が、アキレス腱炎からの迅速な回復と再発予防の鍵となります。症状が持続する場合や悪化する場合は、診察を受けることをお勧めします。