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肘内側側副靭帯損傷

はじめに

肘内側側副靭帯(ひじないそくそくふくじんたい)は、肘関節の内側の安定性を保つ重要な靭帯です。
この靭帯が損傷すると、肘の機能に大きな影響を及ぼします。
損傷の原因は主に2つに分けられ、投球動作などの慢性的な使用過多による障害と、スポーツや事故による急性の外傷です。
特に投球動作に関連する慢性的な損傷では、骨盤や股関節の柔軟性、全身の使い方が大きく関係していると考えられています。

損傷のタイプ

慢性的な損傷(使用過多による障害)

  • 繰り返される投球動作などにより、靭帯が徐々に損傷
  • 靭帯の変性や部分断裂が見られる
  • 主に野球やソフトボール、テニスなどの反復動作が原因

急性外傷による損傷

  • 突発的な事故やスポーツ中の負傷による損傷
  • 激しい痛みや機能障害が突然現れる

主な症状

慢性的な損傷の場合

  • 肘の内側に慢性的な痛み
  • 投球動作時の違和感や不安定感
  • 投球時のコントロールや速度の低下

急性外傷の場合

  • 受傷時の激しい痛み
  • 肘関節の著しい不安定性
  • 腫れや内出血、肘の動きの制限

よくある原因

急性外傷

  • 転倒時に手をついた際の衝撃
  • 柔道やラグビーなどの接触スポーツでの負傷
  • 肘関節に強制的な外反ストレスが加わった場合

慢性的な使用による原因

  • 繰り返される投球動作や急激な捻り動作
  • 肘への過度な負担による慢性的な損傷

身体機能の問題による原因

  • 肩甲帯(肩周り)の機能低下や肩関節の硬さ
  • 股関節の柔軟性低下や体幹の筋力不足
  • 投球動作における運動連鎖の破綻

画像検査

レントゲン

  • 骨折の有無や骨の異常を確認

超音波検査(エコー)

  • リアルタイムで靭帯の状態を評価
  • 動的な検査が可能で、損傷の程度を把握

MRI検査

  • 靭帯や周辺組織の詳細な状態を確認
  • 手術の必要性を判断するための重要な情報を提供

治療方法

保存療法(手術をしない治療)

急性期(発症後2~3週間)
  • RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)を実施
  • 必要に応じて固定や消炎鎮痛剤を使用
回復期のリハビリテーション
  • 肘関節のストレッチや可動域訓練、筋力強化を実施
  • 肩甲帯や体幹、股関節など全身の機能改善を重視
  • 投球動作の運動連鎖を再教育し、正しいフォームを習得
復帰期
  • 段階的な投球プログラムを導入
  • フォームの確認と修正を行い、投球数を管理

手術療法

以下の場合に手術を検討します。

  • 急性外傷で靭帯が完全に断裂した場合
  • 保存療法で改善が見られない場合
  • アスリートが競技復帰を目指す場合
  • 肘関節に明らかな不安定性がある場合
手術の種類
急性損傷の場合:靭帯縫合術
  • 断裂した靭帯を直接縫い合わせます。
  • 術後4~6ヶ月での競技復帰が期待されます。
慢性損傷の場合:靭帯再建術(トミージョン手術)
  • 自分の腱(主に手首の腱)を使用して靭帯を再建します。
  • 高い成功率と競技復帰率を誇ります。
  • 長期的な安定性が期待できます。

当院での治療について

当院では、肘の治療に精通した医師が診察を行い、最新の超音波診断装置やMRIを用いて的確な診断を行います。
急性外傷から慢性障害まで、患者さまの症状に応じた最適な治療方針を提案いたします。

また、専門的なリハビリテーションプログラムを用意し、全身機能の評価と改善に重点を置いた包括的な治療を行っています。
再発予防まで考慮した治療を提供し、患者さまが日常生活やスポーツへスムーズに復帰できるよう全力でサポートいたします。

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