肩インピンジメント症候群
肩インピンジメント症候群とは
肩インピンジメント症候群は、肩の動作中に上腕骨頭(上腕の骨の上部)が肩甲骨と衝突し、腱板が炎症を起こすことで発生する疾患です。
特に腕を上げる動作や繰り返しの動きが原因となりやすく、肩の痛みや可動域の制限を引き起こします。
原因
肩インピンジメント症候群の原因は、主に以下の3つに分類されます。
機能的要因
- 肩甲骨周囲の筋肉が緊張する(肩こりが酷くなる)ことで、肩の動きがスムーズに行えなくなります。
- 腱板(肩のインナーマッスル)の働きが低下すると、上腕骨頭と肩甲骨の間のバランスが崩れ、関節の動きにブレが生じます。
このブレによって腱板が肩甲骨の肩峰部分と衝突し、炎症を引き起こします。
解剖学的要因
- 肩甲骨の肩峰部分に「骨棘(こつきょく)」と呼ばれる骨の出っ張りができると、腱板と衝突しやすくなります。
過使用
- 野球やテニスなど肩を頻繁に使うスポーツ、または重い物を持つ、腕を繰り返し上げる作業を伴う仕事など、反復的な動作が原因となることがあります。
症状
肩インピンジメント症候群の主な症状は以下の通りです。
肩の痛み
- 特に腕を上げる動作や後ろに引く動作で、一定の角度で痛みが生じます。
可動域の制限
- 肩の動きが制限され、特に腕を上げる際に困難を感じることがあります。
治療法
肩インピンジメント症候群の治療は、症状の程度に応じて以下の方法が選択されます。
安静
- 痛みを引き起こす動作を避け、肩の負担を減らします。
理学療法
- 肩甲骨周囲の筋肉の緊張を改善する徒手療法やストレッチを行います。
- 腱板(インナーマッスル)の機能を高めるためのトレーニングを実施します。
薬物療法
注射治療
ステロイドやヒアルロン酸の注射で炎症を抑え、早期に痛みを軽減します。
痛みが和らぐことで肩周囲の筋肉の緊張も緩和され、リハビリの効果が高まります。
内服薬
痛みが強い場合は、消炎鎮痛剤やその他の鎮痛作用のある薬を使用します。
まとめ
肩インピンジメント症候群は、よく知られる「五十肩」とは異なる疾患です。
肩の痛みが長期間続き、改善しない場合は肩インピンジメント症候群の可能性があります。
早期の診断と適切な治療が重要です。
症状がある場合は、ぜひ肩の専門医にご相談ください。