鼠径部痛症候群
鼠径部痛症候群とは
鼠径部痛症候群は、主にスポーツ活動に関連して発症する、太ももの付け根(鼠径部)に痛みや不快感を引き起こす症候群です。単一の疾患ではなく、複数の病態を包括する症候群として捉えられています。特に、サッカーやアイスホッケーなど、急激な方向転換や蹴り動作を多用するスポーツ選手に多く見られます。
鼠径部痛症候群の症状
主な症状には以下のようなものがあります。
- 鼠径部の痛みや不快感
- 運動時(特にキック動作やダッシュ)の痛みの増強
- 大腿内側や下腹部への痛みの放散
- 症状の進行に伴う日常生活動作での痛み(起き上がり、立ち上がりなど)
- クリック音や違和感
症状の程度は軽度から重度まで様々で、スポーツ活動時のみの痛みから歩行困難を来すケースまであります。
鼠径部痛症候群の原因
主な原因は以下の通りです。
- 股股関節や体幹の筋力低下
- 股関節の可動性低下
- 身体のコントロール能力の低下
- 過度の使用や不適切なトレーニング
鼠径部痛症候群の治療方法
治療アプローチは症状の程度や原因に応じて様々です。
急性期の管理
- 最低2週間のスポーツ活動の休止
- RICE処置(Rest, Ice, Compression, Elevation)
リハビリテーション
- 可動性改善エクササイズ
- 筋力強化トレーニング(特に股関節周囲筋と体幹筋)
- 協調性・バランス訓練
- スポーツ特異的な動作の再教育
予防プログラムの導入
- 適切なウォームアップとクールダウン
- 定期的な柔軟性・筋力評価
- 必要に応じた薬物療法:
治療において重要なのは、単に症状を抑えるだけでなく、その症状を引き起こした機能不全を特定し、改善することです。また、再発予防のための継続的なケアと教育も重要です。