ペルテス病
ペルテス病とは
ペルテス病は、主に小児期に発症する股関節の疾患です。大腿骨頭の血流が一時的に途絶えることで、骨組織が壊死し、その後の修復過程で変形を生じる特徴があります。典型的には2歳から14歳の間に発症し、7歳頃がピークとされています。男児に多く見られ、約8%は両側に発症します。
ペルテス病の症状
主な症状には以下のようなものがあります。
- 歩行の変化:跛行(はこう)や足を引きずるような歩き方
- 股関節周辺の痛み:太もも、膝にも痛みが及ぶことがある
- 股関節の可動域制限
- 断続的な痛み:数ヶ月にわたって繰り返すことがある
- 活動時の痛みの増強と休息時の軽減
症状は徐々に進行することが多く、初期には親が子供の歩き方の変化に気づくことから発見されることもあります。
ペルテス病の原因
ペルテス病の正確な原因は未だ明らかになっていませんが、大腿骨頭への血流不全が主な要因と考えられています。
この血流不全により、以下のような過程を経ると考えられています。
- 大腿骨頭の血流途絶
- 骨組織の壊死(阻血性骨壊死)
- 荷重による骨組織の圧潰
- 修復過程での骨の再形成と変形
遺伝的要因や環境要因も関与している可能性が指摘されていますが、詳細は不明です。
ペルテス病の治療方法
治療方針は、患者の年齢、症状の程度、病期によって異なります。
経過観察
軽症例や自然治癒が期待できる若年例
保存療法
- 免荷治療:入院での牽引療法
- 装具療法:外転免荷装具の使用
手術療法
大腿骨骨切り術、骨盤骨切り術
一般的に、8歳未満の場合は保存療法が選択されることが多く、8歳以上では手術療法が推奨されることが多いです。これは、年齢が上がるにつれて骨の修復能力が低下するためです。
治療の主な目的は、大腿骨頭の形状をできるだけ球形に保ち、関節の適合性を維持することです。早期発見と適切な治療により、多くの場合で良好な予後が期待できます。ただし、発症年齢が高く、壊死範囲が広い場合は、長期的に変形性股関節症のリスクが高まる可能性があります。
定期的なフォローアップと、必要に応じたリハビリテーションが重要です。また、家族への適切な情報提供と心理的サポートも治療の重要な要素となります。