変形性股関節症
変形性股関節症とは
変形性股関節症は、股関節を構成する骨盤側の寛骨臼と大腿骨頭の関節軟骨が徐々に摩耗し、変性していく進行性の疾患です。正常な股関節では、関節軟骨がクッションの役割を果たし、スムーズな動きを可能にしています。しかし、この軟骨が損傷すると、骨と骨が直接こすれ合うことで痛みや機能障害が生じます。
変形性股関節症の症状
主な症状は以下の通りです。
- 股関節の痛み:初期は動作時のみ、進行すると安静時にも
- 可動域の制限:特に股関節の屈曲や内旋が困難に
- 跛行(はこう):痛みによる特徴的な歩き方の変化
- 日常動作の困難:靴下の着脱や爪切りなどが難しくなる
- 脚長差:進行すると患側の脚が短くなることも
変形性股関節症の原因
原因は大きく二つに分類されます。
一次性(原発性)
- 加齢による自然な軟骨の摩耗
- 過度の体重負荷
- 継続的な過剰な運動負荷
二次性
- 臼蓋形成不全(約90%を占める主要因)
- 先天性股関節脱臼の後遺症
- 大腿骨頭壊死症
- 外傷後の変形
女性に多い理由として、臼蓋形成不全の頻度が高いことが挙げられます。
変形性股関節症の治療方法
治療は症状の程度や患者の年齢、生活様式に応じて選択されます。
保存療法
- 生活指導:過度の負荷を避け、適切な体重管理
- 運動療法:筋力強化、ストレッチ、水中運動
- 薬物療法:消炎鎮痛剤の内服や外用
- 装具療法:杖や歩行器の使用
手術療法
- 関節鏡視下手術:初期~中期の症例に対して
- 骨切り術:比較的若年の患者に対する関節温存手術
- 人工股関節置換術:進行期の症例に対して
早期発見と適切な治療により、症状の進行を遅らせ、QOLの維持・向上を図ることが可能です。定期的な検診と、症状がある場合の早めの受診が重要です。