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肩の痛み、本当にそれって50肩ですか?

[2025.08.01]

皆さん、こんにちは。鹿児島中央整形外科スポーツクリニック院長の前田和彦です。今回は長引く肩の痛みについてお話ししたいと思います。

肩の痛みといえば、「50肩(肩関節周囲炎)」を思い浮かべる方が多いかもしれません。確かに、50肩は中高年の方に多くみられる疾患で、肩の動きが制限され、痛みが長引くことが特徴です。しかし、肩の痛みの原因はたくさんあります。実は、50肩だと思っていた症状が、別の疾患によるものだった、というケースも少なくないのです。

肩の痛み、他に考えられる原因は?

肩の痛みを引き起こす疾患には、以下のようなものが挙げられます。

  • 腱板断裂
    肩を動かす筋肉や腱が損傷することで痛みや動きの制限が生じます。特に、転倒や過度な負荷がきっかけで発症することが多いですが、加齢とともに自然に断裂が進むケースもあります。
  • 変形性肩関節症
    肩関節の軟骨がすり減ることで痛みやこわばりが生じる疾患です。加齢が主な原因で、中高年に多く見られます。
  • 上腕二頭筋長頭腱炎
    上腕二頭筋(力こぶを作る筋肉)の腱に炎症が起こることで、肩や腕の前面に痛みが出る疾患です。繰り返しの動作や過負荷が原因となります。
  • 肩インピンジメント症候群
    肩を動かす際に腱や滑液包が骨に挟まれることで炎症を起こし、痛みを感じる疾患です。特に腕を上げる動作で痛みが悪化します。

 

さらに、肩の痛みの原因が肩そのものに限らない場合もあります。例えば、肺がんが原因で肩に痛みが放散することや、左肩の痛みが心筋梗塞のサインである場合もあります。これらは命に関わる疾患であるため、肩の痛みを軽視せず、適切な診断を受けることが重要です。

肩の診断における重要なポイント

肩の痛みの原因を正確に診断するためには、姿勢の評価肩甲骨の動きの評価が欠かせません。肩甲骨は肩の動きを支える土台の役割を果たしており、その動きが正常でない場合、肩関節に過剰な負担がかかり、痛みや機能障害を引き起こすことがあります。姿勢の歪みや肩甲骨の不安定性は、肩の疾患の背景に潜んでいることが多いため、診断時にこれらを丁寧に評価することが治療の第一歩となります。

また、これらの評価は治療における理学療法でも非常に重要です。肩甲骨の動きを改善するためのエクササイズや姿勢矯正を取り入れることで、肩関節の負担を軽減し、症状の改善を目指します。肩の痛みの治療において、肩甲骨の状態を無視することはできません。

整形外科での診断と治療

肩の痛みの原因を明らかにするためには、理学所見(姿勢や肩甲骨の動きの確認、触診、可動域の確認など)を丁寧に行うことが基本です。その上で、必要に応じて画像診断(レントゲンやMRI)を実施します。これにより、骨や軟部組織の状態を詳しく評価し、正確な診断を下すことが可能になります。

診断がついた後の治療は、主に以下の方法が選択されます。

  • リハビリテーション
    痛みを軽減し、肩の動きを改善するために、理学療法士による運動療法を行います。特に、肩甲骨の動きの改善や姿勢矯正を中心としたアプローチを行い、肩関節の機能を取り戻すことを目指します。
  • 薬物療法
    痛みや炎症を抑えるための内服薬や注射(ステロイド注射やヒアルロン酸注射など)を使用します。

これらの治療で多くの患者さんは症状が改善します。しかし、重症例や保存療法で効果が得られない場合は、手術が必要となることもあります。例えば、腱板断裂に対しては腱の修復手術、変形性肩関節症に対しては人工関節置換術が行われることがあります。近年では、手術技術の進歩により、これらの手術の成績は非常に安定しており、多くの患者さんが良好な結果を得ています。

当院の院長は肩の専門医です

肩の痛みを治療する上で、最も重要なのは正確な診断です。痛みの原因を誤って判断すると、適切な治療が行われず、症状が改善しないばかりか悪化する可能性もあります。

私は肩を専門とする医師として、診断から保存療法、さらに手術まで一貫して対応させて頂いています。当院では、まず保存療法(リハビリや薬物療法)を中心に治療を進め、多くの患者様がこの段階で症状の改善を実感されています。特に、姿勢や肩甲骨の動きの評価を基にした理学療法を重視し、肩関節の機能回復を目指します。保存療法が効果を示さない場合や、明らかに手術が必要と判断されるケースでは、院長の私自身が責任を持って手術を行います。手術後もリハビリを含めた一貫したフォローアップを行い、患者様が再び快適な生活を送れるよう全力でサポートいたします。

肩の痛みを放置せず、早めの受診を

肩の痛みが長引いている場合、それが本当に50肩なのか、それとも他の疾患によるものなのかを見極めることが大切です。早期に適切な診断と治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。

当院では、肩の痛みに対する診断と治療に力を入れております。肩甲骨の動きや姿勢の評価を重視し、保存療法を基本に治療を進めていきます。肩の痛みでお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。一緒に原因を突き止め、最適な治療法を見つけていきましょう。肩の健康を取り戻すために、私たちがお手伝いします。

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